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November 28, 2011

舞台【あゝ、荒野】感想①

27日ソワレに行ってきました。

原作を読んでいた私にとって、観劇にあたっての最も大きな関心は、
ボクシングにはTKO(テクニカルノックアウト)というルールがあるのに、
バリカンが死んでしまうまで殴り続けたこと、
そして、あこがれの新次と永遠にのっぴきならない関係になるために、
バリカンが死を喜んで受け入れ、新次がそれに加担したことに、
説得力があるかということ。

結論から言うと、アリかなあ・・・と。

そこまで持っていくための伏線は、
自殺研究会の人間が、
人を批判する口だけは達者でも、自分は自殺しようとしてもできず、
思うことをうまく口にできないバリカンは、ボクシングで新次に殺されるという、
自分が決めたことは実行できる潔い強さがあるということ。
また、新次はヒーローになるという欲望のためには、すべてを受け入れると言ったこと。
すべての中には、唯一の友とも思っていたバリカンを殺すことも入っているのだと思うのです。
実際、のし上がってきた人間は、人を殺さないまでも、
誰かを精神的、或いは社会的に抹殺してきているということは、いくらでもあると思うのです。

そして、芳子と新次はセックスで結びつき、子供を作り、一心同体の関係になっていくのでしょうが、
バリカンと新次は、新次がバリカンをボクシングで殴り殺すことで、バリカンは新次の中で生き続ける永遠の命を獲得したとも思えます。
バリカンの命を引き受けたという新次の決心が、バリカンの遺体を回らせる場所を、
リング上で次々と挙げていたのだと思います。

現実にはあり得ないことを、アリと思わせるための圧倒的なパワーがあるかないか。
これが、作品の成否を決めると思うのですが、
この一番の難題を、この舞台はクリアしたと思います。

続きは、また。

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