« 『夏虹』への疑問 | Main | 自分をだませない人 »

September 27, 2010

「おまえらしくやればいいんだ」

私が夏虹でよかったなあと思うのは、
頭でっかちと、欠点のように言われていたことを直さずに、
そこまでやるか?!というくらい台本を読み込み、解釈をして、
まさに頭でっかちを極めて、役を得ることができたこと。

人間なんて、どんなに人から言われたからといって、別人にはなれない。
その人にしかできないやり方で、誰にもまねのできないことをして、初めて面白い個性と思われる。

航太郎さんに言われた、「おまえらしくやればいいんだ」というのは、頭でっかちを極めることだったのでしょう。

そして、有栖川さんの、「それを全部忘れたら、その役をやらせてやる」というのは、
考えたことを全部どっかになくしてしまうのではなく、
考えに考えて、それが無意識のレベルまで自分のものにして初めて、
航太郎さんのもう一つの言葉、「もっと自由になれ」を実現できるということだと思うのです。

ですから、客席の後ろに航太郎さんの姿を見たときの感動は、彼が残してくれた言葉を体現したという、
父と子だけに通じる、心の会話が感じられたからだと思うのです。

私、潤くんも頭でっかちな俳優だと思うんです。
”質問くん”と言われるくらい、納得して演じたい人だと思うし、
知識だけでなく、あらゆることに対する好奇心、アイドルとしての様々な体験・・・
彼の頭の中にはどれだけたくさんのことが入っているだろうと思うのですが、
それが、彼の誰にも負けない特質だし、
真摯に極めてきたことが彼の無意識の血肉になって、その役ごとに、たくさんの引き出しから、自在に取り出して、
自由に羽ばたくことができると思うのです。

石橋蓮司さん、市村正親さん、夏木マリさん、伊東四朗さん・・・
あの最終回のハムレットの場を盛り上げ、引き締めてくれた、素敵なベテラン俳優の方々は、
素晴らしい存在感でしたね。
想像を絶するような修羅場を何度も経験しながら、それでも自分らしさを極めてこられたからこそ、
歳を重ねるほど、底知れぬ魅力を増しているのではないかと思います。


|

« 『夏虹』への疑問 | Main | 自分をだませない人 »