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July 08, 2009

愛とは決意である。

エーリッヒ・フロムの、「愛するとは決意である」という言葉を思い出します。

相手が自分をどう思っているかとか、駆け引きとか、状況によって変わるとか、
そういうものではまったくなく、
どんな時でも、どんなことがあっても、相手を思う行動をする決意が愛なのだと思う。

花は、ビトを愛する決意をしたから、町村フーズに就職し、ビトがどう思うか関係なく、
彼女の想いを伝え続けた。
命がけで救おうとして、1回目は成功したが、2回目はビトに殺人を犯す結果にしてしまった。
死刑が確定したビトに、何度断られても会いに行き続け、
多国籍料理の勉強や準備をして、一人で店を開いて、ビトを待っていた。

ビトは花を守ると決意したから、林を殺す羽目になってしまった。
ビトが花の幸せを願い、花に会わない決意をしたのも、花への愛からであろう。
会ったら、その決意が揺らぐことがわかっていたから。
その代り、ブタを折り続け、抱きしめ続けた。

そういう強い二人の決意を回りの人間が知っているから、
彼らのために奔走したのだと思う。

伊東弁護士が絶対にあきらめなかったのも、ビトへの共感や愛だったのだと思うし、
北川検事が、冤罪に気づき林の父親の居場所を知らせるということは、
自分の立場を危うくする可能性もあっただろうに、正義を守るという職務への愛を決意する。
一人窓の外を見ているシーンがはさまれたことで、彼の決意までの心の動きがわかるような気がした。
町村フーズの社長の自殺も、悲しいことだけど、彼の立場からの愛の決意だったのだろう。
それを知っているから、残された者たちが必死で町村フーズを守りぬく。

そう考えると、林の母親は息子を愛していたとは言えないだろう。
自分の都合で置いてきたり、拒否したりしているのだから。
古瀬刑事が、恨みを不当に外国人に向けず、傷ついた娘を守り愛しぬく決意をしていたならば、娘さんの現状も違っていたのではないだろうか。
親が子を愛しぬく決意ができなかったことから生まれた悲劇。

生きているといろんなことが起こる。
状況に振り回され、どういう言動をとったらいいのかわからなくなることがよくある。

ドラマ『スマイル』は、現実の私たちの生活よりも事件が多すぎたけど、
自分ではどうにもならない状況に追い込まれたときの、
それぞれの人間の本質をあぶりだして、
いろいろ考えさせてくれた。

このドラマを潤くんがやってくれて、本当に良かった。
私も辛いとき、ブタの折り紙を折るビトを思い、がんばれる。
ビトは、弱くて強く、愚かで賢くて、強いものにへつらいながらも自分の信念も持っていて、がんばるほど失敗もし、愛を求めて必死で決意する、
誰の中にも住んでいる愛すべき存在なのだと思う。

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