« 愛とは決意である。 | Main | 都合のいい男 »

July 13, 2009

知らないことを自覚

イラン人の友達からのメールで、彼が日本にいたときのことを知りました。

留学生会館のウェルカムパーティで、警察官がまっすぐ彼の方にきて、
研究内容、週末何をするか、以前どういうところに住んでいたかなどたくさん聞かれ、
犯罪者扱いだと感じて寂しかったとのこと。
アメリカ人やイギリス人の留学生がたくさんいたのに彼だけ質問されたそうです。
入国管理局のスタッフにビザに関する質問をしたら、「あなたはイラン人だから答えられない」と言われたこともあるそうで、
これは日本においてだけでなく、世界中で発展途上国の人間が差別を受けやすく、特にイスラムの国の人間は、よくテロリストと思われるそうです。

そして、海外で活躍するために、彼は国籍を変えることを真剣に考えていました。

私は、日本人としてとても恥ずかしく、申し訳なく思いました。

これは、彼が職業選択という人生の一大事を考える上で避けて通れないことなので教えてくれたことで、
そういうことがなかったら、彼からこういう話を聞くことはなかったのではないかと思います。

彼の体験を教えてもらったことで、ビトが日本の警察から受けたことにリアリティを与えてくれました。
そして改めて思いました。
自分以外の人の考えていること、その歴史、経験、価値観、教えてもらわないと、何もわからないんだということ。

地球上には、60億人以上の人間が生きていて、一人一人が他人にはまったくわからない固有の世界を生きている。
でも、60億分の一の裁判員が、まったく知らない60億分の一の他人を裁かなければならない。
判断材料は、裁判で提示されたものだけ。
それ以外に無数の事実があるのに。。。
そして、提示される材料が加わるたびに、結論が変わる可能性がある。

だから、妊娠した専業主婦の人が、わからない事実が多すぎるから死刑回避・・・というのは、まっとうな反応のように私には思える。
出版社勤務の女性が、ビトに同情的だったのに、花の父親のことを知ったとたん、態度が豹変する。
取材で被害者の惨状を知っているからとのこと。
高校教師も自分の価値観を強硬に押しつけているように思える。
エリート商社マンも、行動がすべて・・・というもっともらしい意見を言っているが、すべての行動を知っているわけではない。
一見、いろいろな社会経験がありそうな人が、自分の狭い経験と価値観で死刑を求刑している。

ここに、脚本家の隠された意図があるのだろうか・・・と思う。
例えば、知らないことよりも、知っていると思っていることの方が怖いんだと。
世の中、実は知らないことだらけなんだということを自覚する必要があると。

|

« 愛とは決意である。 | Main | 都合のいい男 »