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June 17, 2009

人間は感情の動物

ビトを被告とする裁判なんですが、
検察側のメンツのためにビトが利用されているだけのようで、
ビトはその餌食・犠牲者のような感じですね。

ですから、町村フーズのお母さんの言葉は胸にしみいり、観ている私たちはカタルシスを得ることができましたが、
言われた北川検事は、理解できないだけでなく、自分を非難されたという恨みを永遠に抱き続ける材料になったでしょうね。
そういう人間だから、ビトが犯した罪も恨みを晴らすため・・・としか解釈できないのでしょう。
学校エリートが司法試験で勝利し、検事となって、挫折を知らないがゆえに人情の機微もわからず、
被告という弱い立場の人間を追い詰めていく。

よくある勧善懲悪のドラマは、最後に善が勝って、視聴者は心地よく安心して観ることができるんだけど、
このドラマの辛さは、例えば花ちゃんの大活躍で覚せい剤の冤罪が晴れたことが、検察・警察にさらに強い仕返しの動機を与えてしまったり、
花ちゃんが勇気を振り絞って証言しビトをかばうことで、花ちゃんの父親のことがばらされ、裁判官の一人の感情が逆の方向に動くというように、善がさらなる悪を呼び起こすという悪循環がどんどん増幅していくことなんですね。

ビトが林から離れることができなかったのも、唯一差別しない人だと思ったからで、その信頼が壊れた瞬間に引き金を引いたというのは、
ビトの心にとって、差別がそれほど大きな重みを持っていたということでしょうか。
2015年に、マーチンルーサーキングの本にもっと前に出会いたかった・・・と言うのが切ない。
町村フーズの人や伊東弁護士や花ちゃんにどんなに愛されても、
人種で差別される人間として自分を重ね合わせ、生きる指針となる強い存在にもっと早く出会っていたなら、林と付き合わずにすむ強さを持てたということでしょうか。。。

精度の高いDNA鑑定のような絶対的な判断基準がない限り、
あらゆることが、実は人間の感情が決定的な要因になるんだという怖さを、このドラマで痛感します。

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