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June 28, 2009

好きだよ、花ちゃん・・・。

よかった。とにかくよかったです。
バッドエンドで問題提起という終わり方もあったのかもしれませんが、
これまでのビトの人生があまりに悲惨すぎたから、
救いのラストで、正義は証明される・・・という希望に満ちたものになって、
本当によかった。

偏見・差別、裁判員制度、死刑制度・・・と次から次へと問題が提示され、
何がテーマなのかわからない感じでしたが、
新聞紙箱いっぱいのブタの折り紙を見たとき、これが根底を流れるテーマだったんだと思いました。
つまり愛の力ですね。
花ちゃんを想うことで、不安と恐怖に耐えながら、
表面的にはさわやかな笑顔を保ち、花ちゃんには自分と関係ない人生で幸せになってほしいと言っていた。
でも一馬と柏木刑務官は、ビトの花ちゃんへの一途な気持ちを知っていた。
一馬と柏木のおかげで死刑を免れたように見えるが、
実は彼らの心を動かし、行動に駆り立てたのは、ビトと花ちゃんの心根の美しさだったと思うのね。
こんなビトを絶対に死なせてはならないと思わせる何かを持っていたんだと思う。

つまり、どんなに理不尽なことが次々と起こっても、
理解しがたい矛盾に満ちた行動をしても、
魂の奥の奥にある美しいものを信じてもらえるかどうか・・・
それが、人生を、そして究極的には生と死を分けるということ。

好きだよ、花ちゃん・・・。
たったこれだけの言葉を口にするのに、どれほど涙の日日を過ごしたことだろうか。
ガラス越しの手と手を合わせた再会の場面。
潤くんの泣き顔がブサイクであればあるほど、花ちゃんを想う気持ち・生への渇望が伝わってきて、
心をわしづかみにされました。

こんな素晴らしいドラマに主演できて、本当に良かったね、潤くん。
そして、スタッフ・キャストのすべての方々に感謝です。

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June 25, 2009

私の希望

先日も感想を紹介した70歳の女性に、今日も会ったのですが、
会うなり、肝心の用事よりも先に、
「明日、最終回よね・・・
楽しみで、楽しみで。
自分の罪を償うために死刑を受け入れた気持ちがすごくわかるし、強い人だね。。。
でも、ハッピーエンドになるんでしょ・・・」
というようなことを言っていました。
8回から見始めたので、その前のことをいろいろ聞かれて、『スマイル』にどっぷりはまっています。
彼女は、子供二人を連れて離婚して、自分で事業を起こして必死で子供を育ててきた人。
そして、70過ぎてまたアメリカに勉強に行く計画を持っている。

私はファンだから、客観的に見れないんだけど、
私が知る限り、人生の荒波を自力で頑張って乗り越えてきた本当の意味での大人で、
強くて優しい人が、『スマイル』にはまって、潤くんを褒めてくれる。
よかったね。潤くん。
自分を信じてやっていれば、わかる人にはわかってもらえる。

ところで明日の最終回。
私の希望としては、再審が認められたところで終って、
その続きは続編や映画で・・・もいいなあと思っています。
冤罪だった過去の事件や林との関わりをさらに解明していくことで、新たなドラマが作れると思うんだけど。。。

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June 23, 2009

ある弁護士の話

弁護士さんの講演を聞きました。
というか、私が幹事の一人として主催しなくてはいけない会に、
弁護士さんを講師として呼んだんです。

紹介された40歳の弁護士さんは、得意分野は男女のもつれと言う軽薄なノリで、大丈夫かしら、この講演・・・だったんですが、
話が進むにつれ、活発な質疑応答もありで、引き込まれていきましたね。
いやあ、シンドイ仕事ですね。弁護士さん。
危険と背中合わせで、事件によっては、毎日自宅付近を警察が24時間見回りをしていることもあるそうな。
司法修習生時代に社会正義ということを徹底的に叩き込まれるので、どんなにたいへんでもやっていけるようなことを言っていました。

印象的だったのは、だいたいの裁判は最初に立てた見通しどおりに決着するんだけど、
可愛がってもらっている年配の先輩に言われたこととして、
勝つべき裁判に負けてはいけない、
負けるべき裁判に勝ってはいけないということ。
ビトの裁判は勝つべき裁判に負けたんだと思うので、
このままでは、社会正義に反するのではないかと思いました。

そして、ずっと心にひっかかっていることとして、
殺人事件の被告が、ずっとやっていないと主張していて、
高裁まで行ったけど、懲役13年になってしまったこと。
弁護士の彼からは、本人はやっていないと言ってても、
確信を持ちきれない苦悩のようなものを感じました。

人を裁くということのたいへんさ。
うつ病になる裁判官がたくさんいるそうです。

裁判員制度には個人的に反対だと言っていました。
裁判は民主主義にはなじまないのではないか。
人を裁くという重大なことだからこそ、神聖な領域として残しておいてほしかったと言っていました。

ボランティアとしていろんなことをやっているけど、
その中で、中学校に行って、
例えば、カラオケBOXが近所にできるという設定で、
まずは、店長、近所の住人、従業員、利用者、利用者の親など、
それぞれの役割ごとにグループを作って、自分の立場を明確にする。
そして次に、各グループに様々な立場の人が参加して話し合う。
つまり、条例を作る練習のようなものだと言っていました。
答えのない問題について、自分の頭で考えて、多くの立場の人にとって、よりよいルールを作っていくということだそうで、すごく面白いと言っていました。

この話を聞いて、長いけど『スマイル』の7話から最終回を題材にして、中学生たちにグループ討論させたら、面白いだろうなあと思いました。
1話ごとに、次の展開がわからない状態で率直な感想を述べ合う。
陪審員制度を扱った映画『12人の怒れる男』のような完成した完璧な作品でないからこそ、
様々な意見・感想が出てくるだろうし、
裁かれる側のラブストーリーも含まれていて、被告側の心情に思いを寄せることができ、
自分も当事者としてそのドラマの中で生きているような感覚で参加できると思うのです。

ところで、友人は娘さんが録画したこのドラマを、結局1話から全部見ていて、
すごく面白いと言っていました。

また、以前感想を載せた50歳の男性に先日会ったら、
毎回見れているわけではないけど、
松潤のファンになったよ。惚れてしまいそう・・・と言っていました。
もしかして、この男性のまっすぐな生き方が、ビトや松潤に共感する何かがあるのかもしれません。

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June 20, 2009

林の母親は卑怯

もし、林が誰かを殺した被告だったとしたら、
林の母親は、子供の時の絵を持ってきて、息子を救おうとするだろうか?
おそらくそんなことはしないだろう。
手に入れた新しい家庭と自分を守るために拒否するだろう。
林が殺されたから安心して証言者として出てきたのだと思う。
自分の証言が、裁判員にどんな心理的影響があるかもわかっているだろうに、
悲劇の母親を演じる。

息子を置いて家を出れば、その後、その息子がどんな目に会うかわかっていただろうし、
悪の道に入り、よそ様に多大な迷惑をかけ始めたのを知ったなら、
体を張ってでもそれを阻止するのが親というものだと思う。
でも、彼女は逃げただけ。
なのに、被告を追い詰めるためだけに、突然母親として出てくる。

一見被害者顔した可哀そうな人が、実は一番の加害者であるという典型ですね。
表現の仕方は違っても、心のねじれ具合が、この親にしてこの子ありだと思う。
でも、まともな親に育てられた経験のないビトには、この母親のずるさが見えない。
幼い頃から、ひたすら愛して抱きしめてくれる親がいなかったビトの悲劇。
ああ~。。。

ところで、ビトが白く咲いた花を見て涙する場面。
私は、あの白い花は、花だと思って泣いているのだと思いました。
花は、ビトにとって生の象徴。希望のしるし。
その花が一人でたくましく清らかに咲いている。
その美しさを見て、自分の死を決意したと思うのです。
もう自分は花を守ってやることはできない。
でも、花はこの白い花のように凛として生き続けるだろう・・・と。
自分の生を諦めた瞬間であり、
花へのいとおしさが極限に達した瞬間でもあると思いました。

松本潤は俳優としての”ある壁”を、今回の10話で越えた!と思いました。
演じるとかいう、そういう仕事レベルではなく、
『スマイル』の世界に全身全霊を没入させて、
人間として別次元の世界に行ってしまったような。。。

彼には、”上手い”とかいう言葉は似合わない。
魂の奥底でおののき、叫び、おびえ、泣く。
それが外に溢れだして様々な表情となり、別人として目の前に存在するようになる。
その瞬間に立ち会えて、感激です。

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June 17, 2009

皮膚と心

このドラマで私が一番印象的なビトの表情は、
例えば、花とのキスの前などに正面を向いて、
花から愛されていると確信したときの、まるで子供が母親から自尊心を満たしてもらえたようなふくよかな表情なんです。
この表情が、このドラマで何度か出てくるんですが、
他のドラマや素の松本潤では見たことがない初めての表情です。
潤くんのドラマの楽しみの一つは、今まで見たことがない表情に出会うことですから、そういう意味で一つの成功だと思います。

母親からネグレクトされて育ったビトが、ようやくまるごと受け入れてくれる花に出会って、でも殺人を犯してしまって、離れたくなくて手を強く握りしめ続けている二人。
二人で一つの魂を共有していると思えるほどでした。
でも、警察によって引き離され、
ガラス越しで触ることができない指きり。
どんなに触れ合って、体温を感じたかったことでしょう。
肌と肌が触れ合うことは心が触れ合うこと。
愛する人の手が体の痛いところにあててくれるだけで、痛みが和らいだり、気持ちが落ち着いたりは、私たちでも体験すること。

そういう人にやっと出会えたのに、引き裂かれてしまったビト。
ビトの母親は今頃、どこで何をしているのでしょう?
息子のニュースを目にすることはないのでしょうか?

出所して電話をしてきたのに拒絶した林の母親。
でも裁判で、息子を殺して欲しくなかったと涙で訴える。
自分の体から生れ、お乳を飲ませ、抱いたことのある息子は、
理屈ではなく、肌と肌が触れ合いたい本能が渇望する存在なのかもしれません。

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人間は感情の動物

ビトを被告とする裁判なんですが、
検察側のメンツのためにビトが利用されているだけのようで、
ビトはその餌食・犠牲者のような感じですね。

ですから、町村フーズのお母さんの言葉は胸にしみいり、観ている私たちはカタルシスを得ることができましたが、
言われた北川検事は、理解できないだけでなく、自分を非難されたという恨みを永遠に抱き続ける材料になったでしょうね。
そういう人間だから、ビトが犯した罪も恨みを晴らすため・・・としか解釈できないのでしょう。
学校エリートが司法試験で勝利し、検事となって、挫折を知らないがゆえに人情の機微もわからず、
被告という弱い立場の人間を追い詰めていく。

よくある勧善懲悪のドラマは、最後に善が勝って、視聴者は心地よく安心して観ることができるんだけど、
このドラマの辛さは、例えば花ちゃんの大活躍で覚せい剤の冤罪が晴れたことが、検察・警察にさらに強い仕返しの動機を与えてしまったり、
花ちゃんが勇気を振り絞って証言しビトをかばうことで、花ちゃんの父親のことがばらされ、裁判官の一人の感情が逆の方向に動くというように、善がさらなる悪を呼び起こすという悪循環がどんどん増幅していくことなんですね。

ビトが林から離れることができなかったのも、唯一差別しない人だと思ったからで、その信頼が壊れた瞬間に引き金を引いたというのは、
ビトの心にとって、差別がそれほど大きな重みを持っていたということでしょうか。
2015年に、マーチンルーサーキングの本にもっと前に出会いたかった・・・と言うのが切ない。
町村フーズの人や伊東弁護士や花ちゃんにどんなに愛されても、
人種で差別される人間として自分を重ね合わせ、生きる指針となる強い存在にもっと早く出会っていたなら、林と付き合わずにすむ強さを持てたということでしょうか。。。

精度の高いDNA鑑定のような絶対的な判断基準がない限り、
あらゆることが、実は人間の感情が決定的な要因になるんだという怖さを、このドラマで痛感します。

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70歳女性の感想。

知り合いの70歳くらいの女性が、8話、9話と見て、すごく面白いと言っていました。
中井貴一がいいわねえ。
小栗旬、すごい怖い。死んでよかったのよ。(何の予備知識も先入観もない人の率直な感想です)
松本潤、すごくいいわあ~。
バンビーノを見ていたけど、それよりずっといいし、ああいう役をやれると思わなかった。
ファンは綺麗でカッコイイのを見たいかもしれないけど、ファンでなかったら、こういう方がいいわ。
ところで、なぜ、刑務所みたいなところでさわやかに笑ってるの?(2009年と2015年の区別がつかなかったらしい)
新垣結衣ちゃんは知らなかったそうで、最後、なぜ具合が悪くなったのか理解できなかったそうです。

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June 07, 2009

運の強いドラマ

足利事件の佐藤弁護士が、「なぜ菅家さんが無実だと思ったのですか?」と聞かれ、
「彼を知れば知るほど、幼女に対する異常性欲者であるはずがないと確信したから」
と答え、そして、
「警察は逮捕まで1年にわたって尾行して、彼がそういう人でないことはわかっていたはずなのに犯人にした」
というようなことを言っていました。
また、被害者の母親は、
「事件発生以来19年も検察から何の連絡もなく、被害者というのはこういうものかと思っていたら、
最近突然呼び出されて、自分のDNA検査された」というようなことを言っていました。

冤罪というどこか不確実なものに思われていたものが、
精度の高いDNA鑑定のおかげで、誰の目にも明らかな検察や警察や裁判所のいい加減さや失態が明らかになり、
今後の犯罪捜査や裁判にとっての大きな転換点になるであろうこの事件が、
『スマイル』というドラマが佳境に入るこの時期に起きたことで、追い風を感じます。

だって、あり得ない・リアリティがないと言われ続けていたのに、
足利事件のおかげで、現実も似たようなものだということを示されましたものね。

そして、菅家さんが刑務所から出てきた直後の記者会見で、
とても健康的な精神状態であることに感銘を受けました。
17年半も無実の罪で、社会から隔絶されて服役していたら、
どんな精神状況になり、人間がどう変わってしまうものか・・・と恐る恐る見たのに、
彼は、警察・検察・裁判所・真犯人に対する強い怒りをはっきり示し、
でも、誠実で優しく、感受性が豊かで感謝する心もあって、
とても素敵な笑顔の人でした。

それは、彼を人間として信じ、支え、彼のために奔走し続けてくれた佐藤弁護士の存在のおかげだと思うのです。
「刑務所の中では、ケンカとかよくあったけど、自分は決してそういうものには加わらなかった」とも言っていましたが、
信じて支えてくれる人がいれば、自分を信じ続ける強さと穏やかさを手に入れることができるのだと思いました。
その逆の例が林で、刑務所の中でさえ暴れて、威嚇して、自分の力を誇示せずにはいられなかった。。。
菅家さんは、刑務所では食べられないお寿司を食べたこともうれしそうに語っていましたね。
ビトにとっての大トロの意味も大きく浮かび上がってきました。

『スマイル』は、足利事件よりも複雑で、しかも裁判員制度まで扱っていますが、
犯罪とそれを裁くことにおける、それぞれの立場の人間の関わり合いという意味で、
現実が根底を支え、後押ししてくれるようになり、
運の強いドラマだなあと思います。

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June 05, 2009

いろいろなニュースから。。。

今日、年配の女性に『スマイル』7話のことを話したところ、
「え~、そんなシリアスな話だったの?!
題名から、そんな話だとは思わなくて、観る気がしなかったの。
これから絶対見るわ。」
と言われました。

足利事件の冤罪が晴れて出所してこられた方の記者会見に見入ってしまいました。

ビトの場合は、過去の冤罪の真犯人に再び追い込まれて、その真犯人を殺してしまったということですね。
現在のような精度の高いDNA鑑定という絶対的な証拠がない場合の、
人が人を裁く難しさを改めて感じました。

京都教育大学生レイプ事件のため無期停学中の息子を、
学童保育員として採用した教育委員会の父親。
もし、この父親が息子の罪をもみ消せるような権力を持つ職にいたとしたら、
どういうことをしたのだろうか・・・などと思ってしまいました。

潤くんの『スマイル』のおかげで、ニュースの見方が違ってきて、
いろいろ考えてしまいます。

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June 03, 2009

「壮絶な生きざまを見せた男の愛と正義の物語である。。。」

ビトとは、真逆のように思えるこのナレーションの言わんとするところが、
なんとなくわかりかけてきたような気がする、現在の私です。

ビトが林を撃ったのは、花ちゃんのために自分の人生を諦めたから。
つまり、自殺に等しいと思うのです。

殺人はいけない。自殺をしてはいけない。
偏見も差別もダメ。いじめてはいけない。
そういう正論の虚しさがひしひしと胸を覆います。

たった一人のおかしな人間のために、関わらざるを得なかった人達の人生がメチャメチャになるというのは、
現実世界でも起こり得ること。
そんなとき、おまえだったらどうする?とドラマが迫ってきているような気がします。

常識だとか、法律だとか、私たちの生活を守ってくれると思っていたものの無力さ。
でも、ほとんどの人間は、その中でなんとか平安な生活を維持しようとする。

なのにビトは、そのおかしな人間を信じて行動した。
林になんとか更生してほしいと願ったのは、愛ではなかったのか?
刑務所から出た人間が真っ当な道を歩く手伝いをするのは正義ではないのか?
ほとんどの人間ができないことを、勇気を振り絞ってやった。

その当時だけでなく、2015年の拘置所でも、伊東弁護士の、
「もしあのとき自分がついていってたら、運命は大きく変わっていたんじゃないかって」という言葉に対して、
「それは違うよ、一馬さん」と、穏やかに、でもきっぱりと言うビト。
ビトに後悔はないのか。
それは、結果はどうあれ、愛と正義の行動だったという確信があるから?
愛と正義を貫いたため、壮絶な人生を送らざるを得なかったビトの物語ということでしょうか。。。

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June 02, 2009

素朴な疑問

編集をしながら、7話の2度目を観ました。
途中、何度も林を削除したい衝動を抑えながら、
相変わらず、心臓バクバクで。。。

外国人労働者に偏見ありありの古瀬刑事に捜査を依頼し・・・
とありましたが、
彼は、ビトをもっと前から知っていたのではないか・・・という表現が、
以前の回にあったように思います。

ところで、林は甲斐の手下二人に銃を突き付けられたときは、
力づくで二人を倒して、逃走していますよね。
銃が欲しかったのなら、その時奪えるのに、
ビトを使って、わざわざ交番襲撃をする。

ビトが林の頭に背後から銃を突きつけたとき、
甲斐の手下を倒したときのように、ビトをコテンパンにすることができたはずなのに、
わざと、銃口を自分の胸に当てさせて、殺せるなら殺してみろ・・・と迫る。

なぜなんでしょう?
考え込んでしまいました。

林はビトのすべてが欲しかったのではないかと思い至りました。
何も持っていない林は、
ビトが持っているありあまる富のすべてを自分のものにしたいと渇望したのかもと。

交番襲撃という罪をビトに犯させることで共犯者にして、仲間に引きずり込み、
自分の胸に銃口をつきつけ、命のやりとりという極限の状況でもビトは自分を撃つことはできないだろうから、
そこで自分の圧倒的優位を示し、
ビトの一生を自分に捧げさせる確証が欲しかったのかも。
花は、ビトを自分につなぎとめておくための格好のおもちゃ。

でも、ビトは引き金を引いた。
その瞬間、花を守るために自分の人生を捨てたのだと思う。

花と一緒に逃げるのは、自分の人生はすでに諦めたけど、
その前に、自分と一緒に富士山を見に行きたいという彼女の願いを叶えるため?
里奈ちゃんとの約束を守るために、後先考えずにおはぎを作って持っていったビト。
林のこれが最後だという願いをきいて、交番に届けを出しに行くビト。

彼の愚かと思える行動の裏には、自分を守るより、他者の願いを叶えることが優先されている。
何はともあれ人に喜んでもらうということが、生まれた瞬間から親に守ってもらう経験のなかったビトが、
無意識のうちに獲得した生きるすべなのか。。。
でも、相手のためを思う行動が、自分と周りを追い詰めていく。。。

ふと、このドラマは何を目指して、どこへ行こうとしているのだろうか・・・と思う。

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June 01, 2009

古瀬刑事の場合

これから過去の事実が明らかにされていくと思うので、まだまだわかりませんが、
古瀬刑事のビトについての異常な執着と嫌悪は、
ビトがフィリピン人とのハーフだからではなく、
ビトの精神性の美しさを憎悪したからではないかと思い始めました。

古瀬刑事が知っているチンピラ達は、虫けら以下の社会の害虫たち。
そんな中にあってビトは、その不幸な生い立ちにもかかわらず、
そういう範疇では収まりきれない、理解を超える清廉さがあった。
自分には理解できないもの、対処できないものに対する恐怖があって、
都合がよいことに、他の者とは違うフィリピン人とのハーフという事実があったため、
それをビトを貶める材料に使ったのではないかと思うのです。

ビトを見ていると、自分の醜さ・歪みを自覚せざるを得ないので、
精神性のレベルの違いを、
人種の違いにすり替えて、自らの心の平安を確保したのではないか・・・と思えるのです。

そして、古瀬刑事にとっては憎悪の対象であったビトの清廉さは、
花にとっては、愛と命をかける唯一無二の対象となった。

だから、ビトと花の初めてのキスシーンは、
男女のそれというよりも、
お互いの清らかさをいとおしみ慈しむものであったように思われる。
大切な大切な相手の清廉な魂を侵してはいけないというためらいを保ちつつも、
それでも顔と唇を少しずつ近づけていく二人。
迫りくる恐怖があればあるほど、
それぞれの内面の美しさが際立ち体現されたようなキスでした。

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